2013年1月2日水曜日

2012年ベスト・ディスク 20位〜11位



テキサス州オースティン出身のSamとBenから成る2人組Young Pharaohsのデビュー作。Future R&Bが話題な今年に突如現れた新人ユニット。
暖かい低音と冷たいシンセの間を縫うような下手ボーカルのアンサンブルが心地良い。
このようなFuture R&BはWhich Houseから派生したものだろうがシンセで浮遊感を持たせエレクトロやブロークン・ビーツの要素を備えたR&Bの登場は今年の大きな事件の一つだ。






イギリス、オックスフォードを拠点に活動するHugo Manuelのソロ・プロジェクト、Chad Valley。
巷ではポストWashed OutやToro Y MoiへのUKからの回答などと評されていてチルウェイブ・アーティストと並べられることが多い。ロック界での爆発的なチルウェイブのブームはまだまだ終わらないということなのだろうか。女性ボーカルを客演に迎えての楽曲は本当に素晴らしく聴くものを魅了してならない。




タワレコなどでは浮女子コーナーなんてものが設置されてしまうほどこのような女の子の登場は衝撃的だったはず。その代名詞的な存在のClaire BoucherことGrimesはチルウェイブやダブステップ、エレクトロなどといった様々な音楽性を飲み込み、宅録した素晴らしいゴス・ポップなる3rdアルバムを完成させた。
2012年のサマソニでのライブも素晴らしいもので、宮崎アニメのファンであったり、きゃりーぱみゅぱみゅのファンであることも公言している。2012年のポップアイコンであったとともに今後も大注目アーティスト。





オーストラリア出身の2人とインドネシア出身のボーカルの3人組から成るYoung Magicのデビューアルバム。
Animal Collectiveのようなサイケデリックな音を鳴らし、深いリバーブのかかったボーカルで魅せる彼らはチルウェイブ以降のインディーロックバンドということになるのだが、注目すべきはなんと言っても”音の多さ”で躍動感あふれるパーカッションに浮遊感あふれるシンセが重なりサイケデリックなギターやシンセがまた重なる。そこにまたリバーブのかかったボーカルのアンサンブルでアニコレとは違うダークな音の深海にいざなってくれる。






ブルックリンのインディーロックバンドの6thアルバム。こちらは打って変わって音の少なさが際立つアーティスティックな作品。なにがアーティスティックだというとこの作品で最も注目せざるを得ないのがコーラスであり、Bjokeに代表されるアート・ロックの類なのだが音の少なさによりグルーブを生み出し、もはやこれはロックとは言い難い作品になっておりフロントマンのデイヴ・ロングストレスの才能大爆発といった感じ。一般的に聴きづらいアート・ロックとはいつでも最高にくだらなく最高に素晴らしいものだった。






エイベックス所属の5人組女性アイドルグループ、東京女子流の2ndアルバム。アルバム全編通してファンクやフュージョンを取り入れたかなり質の高いグルーヴィーポップに仕上がっている。アルバムタイトル曲、「Limited addiction」のイントロのギターのカッティングにしてもGaracticのCDを入れ間違えたかと思うほどにアイドルらしからぬかっこよさ。一般的なアイドルポップのような曲でなくともスマートに歌いこなしてしまう彼女達の歌唱力にも感無量。今の日本の音楽業界が廃れているなんてよく聞くがアイドル業界の盛り上がりを誰も阻止出来ないだけ。この作品を通してもわかるように今最も面白いのはアイドルで間違いない!この評価は決してアイドルを音楽的に過小評価していたからではない。楽曲だけではなく歌唱力(あとダンス)でも魅せてくれるこのアルバムはアイドルというだけで抵抗がある人にも推せる大推薦盤。12月に史上最年少で日本武道館公演を果たした彼女たちを今後注目しない手はない。







ブルックリンを拠点に活動する現在21 歳のダニエル・ジョンソンのソロプロジェクトComputer Magicの1stアルバム。(他の肩書きがDJ兼ブロガーとはいったい。。)Grimesの登場により宅録女子が次々と街頭に姿を表し2012年最後の宅録女子最右翼として登場したのが彼女。まだまだ廃れないチルウェイブの流れを含み、80年代シンセポップの影響ともとれる素晴らしいポップ・ミュージックを聴かせてくれる。何より宇宙服を着てニューヨークを闊歩する可愛らしいMVから目が離せなくて困るほどだ。現在のナード宅録女子はこれほどまでに素晴らしいと体現させてくれる。






リバーブが深いという意味ではなくここまで深い部分からの歌声を聴かせてくれるシンガーは思い当たるところではFiona Appleしか思いつかないのだがポストFiona Appleとも言い難い彼女の登場は今年の音楽業界、大事件の一つではないだろうか。
ニューヨーク出身の現在26歳のシンガーソングライター、Lana Del Reyのデビューアルバム。26歳にして一体どんな人生を歩んできたのか。痛いほどの悲しみが体全体に刺さるように降ってくるように感じさせる稀有な存在のシンガーがまたしても現れてしまった。








ロサンゼルス出身の現在19歳のシンガー、Tinasheの2nd MIXTAPE
元々アメリカのポップアイドルグループ、The STUNNERSのリードシンガーだったのだが2011年からはソロとしての活動を始める。その後YOUTUBEにてThe Fugeesの"Killing Me Softly"をアカペラでカバーしたり、Rihannaの"We Found Love"をカバーしているメインストリームのど真ん中のアーティストのはずなのだが今年2月に発表したMIXTAPE『In Case We Die』が思いのほかアンビエントな楽曲が中心のMIXTAPEで驚いた。今回はその延長上の作品なのだろうが、さらに艶美なアンビエントR&B作品として聴かせてくれ、浮遊感のあるシンセやリバーブの効かせたボーカルなどのサウンドエフェクトによりキュートなルックスからは想像も出来ないほどの解放感を聴くものに持たせてくれる。





11Supreme Cuts & Haleek Maul - Chrome Lips

自らをフューチャーR&Bと称したシカゴ出身の2人組、Supreme Cutsとニューヨークを拠点に活動する若干16歳の若きラッパー、Haleek Maulの共作。
個人的に現在どんなラッパーよりも注目しているのがHaleek Maulなのだがその彼をデビュー時から支えているのが相性抜群のSupreme Cutsだ。そのコラボアルバムの発表に心踊らないわけがなかった。とても表現するのが難しいのだがダークな浮遊感を持たせつつヘビーなビートの上を表情豊かにねっとりとラップするHaleek Maul。何度も言うが全体的にダークなサウンドエフェクトとボーカルにもリバーブを効かせたり変声させたりと、とことんこの二組のダークな世界観に引きずり込まれる。単なるニューヨーク・アンダーグラウンド・ヒップホップに留まらない才能の塊の二組。




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