2012年9月1日土曜日

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その3

さて前回までアンビエントR&Bの話が長くなってしまったが今回こそは純粋なアンビエントに近い作品を紹介していこうと思う。
と、その前に非常に面白いものがあるので一つそれに触れてから。


2007年にヤマハの開発した音声合成システム『VOCALOID2』を採用した女声の歌声を合成するMicrosoft Windows専用のソフトウェア製品として発売され、声に歌い手としての身体を与えることでより声にリアリティを増すという観点からソフトウェア自体をバーチャルアイドル(バーチャルシンガー)と見立ててキャラクター付けしており、初音ミクは「未来的なアイドル」をコンセプトとしてキャラクター付けされている。名前の由来は、未来から初めての音がやって来るという意味で、「初めての音」から「初音」、「未来」から「ミク」。
初音ミク
年齢:16歳
身長:158cm
体重:42kg   via wikipedia

浅はかな知識でこの話題に触れることにビクビクしているのだが、ようは表情付けができる音声ライブラリーを駆使したDTMソフトだ。さらにそれぞれ表情付けの異なる追加音声「Sweet」(フレンチポップ、バラード、エレクトロニカ等)、「Dark」(バラード、ジャズ、フォーク、アンビエント等)、「Soft」(ソフトロック、バラード、フォーク、アンビエント等)、「Light」(ポップス、ロック、ダンス、テクノポップ等)、「Vivid」(ポップス、テクノポップ、トラッド等)、「Solid」(ポップス、ロック、ダンス、エレクトロ等)の6つのライブラリが追加で提供され、元々のアイドルポップス / ダンス系ポップスのものと合わせて現在7つになっている。それによって派生したミクビエントというものが思いのほか良かったので驚いた。もちろんプロが作った曲が有名であることは当たり前だが誰でも気軽に作れ、素人の作った曲がカラオケに入っていたりするので全く無視できない存在である。加えて言うと初音ミク以外にもキャラクターはいるみたいだがもうさすがにわからない。










アメリカのエレクトロ・ポップデュオ、Postal Service(ポスタル・サービス)
完成度の高い「エレクトロ+美メロ」を奏でる。
USネオギターポップバンドDeath Cab for CutieのBen Gibbardと、DntelことJimmy Tamborelloによるユニット。
互いのアイデアやサウンドを、ポスタル・サービス(郵便)を介して交換したことから、このバンド名が名づけられた。ちなみに紛らわしい為か、US郵政公社よりユニット名の使用停止命令を受けているらしい。2003年にサブ・ポップからリリースされた1stアルバム『Give Up』はロングセールスを続け、サブ・ポップではニルヴァーナの『ブリーチ』以来となるヒット作となったようだがそれも納得。『Give Up』は秀逸な作品だった。EPは数枚出したがアルバムは1枚きりでその後はどうなったのかはよくわからないグループだ。(今回の議題の中でけっこう関係ないアーティストを放り込んだかもしれない)







カナダのトロント出身、在住の中国系カナダ人であるShaw-Han Liem(ショウハン・リーム )による一人プロジェクトである、I am Robot and Proud(アイ・アム・ロボット・アンド・プラウド)
2001年にデビューし、今まで4枚のアルバムをと1枚のRemixアルバムを出す(あとBandcamp内に2枚のEP)が3rdアルバム『The Electricity in Your House Wants to Sing』から特に注目を浴びるようになる。電子音に暖かみを持たせた上質なエレクトロニカを鳴らし、音自体が主役となるアルバムではなく、あくまで日常生活のBGMとして欠かせない(今回の肝はここにある)脇役的名盤。Postal Serviceもそうだが一般的にアンビエントというものはもう少しビートやメロディが強調されていないものだったりするのだがなぜこのようなアーティストに触れたか言うと先ほども言った"音自体が主役にならずにその場の環境の一部になる"ということ。詳しくは後に触れていこう。さらに言うと彼の音楽はアンビエントR&Bで述べた背徳的であったり、耽美な世界観であったり、陰鬱な内面を映し出していたりということが微塵もない。アンビエントもののその辺の変化も面白いだろう。私自身、3rdアルバムと4thアルバムの『Uphill City』しか持っていないがどちらも環境になじむ素晴らしいエレクトロニカとして推したい。









最近日本でもちょこちょこネット上などで名前を聞くようになった、Tetsuya Nakamura( piano,guitar,synth & programming )とAfull Kobayashi( piano,synth & vocal )によるアンビエント・エレクトロニカ・ユニット、Arc of Doves(アーク・オブ・ドーブス)

2001年、東京にて活動を始めるが、2007年頃までは表立った活動はなく、自主制作映画のサントラや他の楽曲制作を行うのみだった。同年から本格的に活動を始め、2009年にQuietus Rechordingsから1stアルバム『Impressions』をリリースする。翌年2010年にはKatsuyuki Taguchi氏が主宰する日本の新鋭レーベルのAYから2ndアルバム 『The Lights』をリリースし、その数ヶ月後に新しいメンバーの"Afull"を迎え、イタリアのHouse / ElectronicaレーベルのRohs! Recordsから3rdアルバム『Mille Plateaux』をリリースし、そして今年の3月、BandCampから過去の音源を再ミックスした6曲入りアルバム『Never Let Me Go』をリリースしている。(3曲のみフリーでDLできる)ちなみにArc of Dovesの名前の由来は、Brian EnoとHarold Buddが共作したアルバム"Ambient 2"収録の楽曲"An Arc of Doves"から。
やっと本格的なアンビエント・アーティストだ。先ほど言ったビートやメロディがあまり強調されていなくI am Robot and Proudよりもその場の環境に溶け込む音になっている。核となっているTetsuya Nakamuraは現在33歳にして相当なキャリアもそうだが才能溢れる音作りは圧巻。



Read full review of Impressions - ARC OF DOVES on Boomkat.com ©












"音自体が主役にならずにその場の環境の一部になる"アンビエントものから少し離れてしまうが、今やOASISがいなくなり事実上、世界ナンバー1バンドとしてその名を世界に轟かせている超ビッグバンド、Radiohead(レディオヘッド)
世界的なアーティストで早くにアンビエントに手を出したのは彼らだった。
1992年にメジャーデビューし、1stアルバムから"CREEP"がヒットした。ちなみに近年では全くこの曲は演奏していなかったのだが2003年のサマーソニックにてセットリストになかったCREEPをいきなり演奏し、結果各メディアでトップギグと呼ばれるステージをみせた。
1st以降は2ndではアコースティック調のギターロックで人気を不動のものにする。(このアルバムで次ぎに続くサイケデリック・ロックの鱗片も垣間見える)そして多くの人がバンドの名盤としてだけではなく、90年代の金字塔として大きく評価されているのが3rdアルバム『OK Computer』。多くのアーティストにカバーされている曲が最も多いのがこのアルバムからではないだろうか。Brad Mehldau(ブラッド・メルドー)によるParanoid Androidのカバーが一番のお気に入りだ。
さて実はここからが本題。彼らはこれほどまでの世界中の評価を得てビッグバンドになったのだが、それまでに評価されていたサウンドをいとも簡単にすべて捨てた。
「商業的自殺」とも言われていたがメディアと一部のファンを大きく裏切り、これすらも成功させる。当時ポップミュージックの分野ではほぼ手つかずのジャンルであったエレクトロニカとバンドサウンドの融合を成し遂げ、素晴らしいアルバム『KID A』を作ったのだ。ちなみに個人的にRadioheadで一番好きなアルバムが『KID A』だ。エイフェックス・ツインからの影響ともとれるアンビエントなエレクトロニカを取り入れ、寂しいほどに冷めていながらも有機的なサウンドを鳴らすこのアルバムに心酔しないわけがなかった。






信じられない。。まだつづく。
次で最後にします。

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